作業改善の為のQ&A

社長、工場長からスーツ水洗いの件で質問頂きました。

「工場長より」

完全水洗い8点で洗いました。
コストの事を考るとこれ以上小ロットには、できません。
ストアのウェット人体待ちは、一杯です。
完全水洗いを小ロットで洗う何が良い案がありますか?

「馬道より」

まず、コストだけについて考えたいと思います。
まず、完全水洗いのコストとは、
洗剤ですか?加工剤ですか?時間ですか?点数ですか?
たぶん、完全水洗いの洗浄(加工)工程のコストを言われてると思います。
単純に考えれば、洗浄機械に適した洗浄をすれば、
洗浄工程のコストは一番下がるんじゃないでしょうか?
ただ、考えていただきたいのは、
洗浄工程のコストだけを考えて優先し、
その影響で他の部分がそれ以上のコストが掛かっていれば、
品質を考慮しながら洗浄工程を見直さなければならないと思います。

次に、今まで改善されてきた経験で、
現場が分かってくると、
ストアーに仕掛品が溜まれば、コストが凄く掛かっていると感じ、
小ロットで洗う方法を質問されていると思います。
現場が分かっていないとこういう質問は出てきません。
現場に入らず机上の理論で見ている人は実感できないと思います。

御社は、洗う機械がでっかいので、どうしてもまとめようとします。
機械に合わすのでは無く、作業の流れに合わす使い方を考えるべきです。
流れに合わす方が、絶対コストが下がります。
それは、経費の中で一番高いのは人件費です。
人の「動き」のムダを取り「働き」に変えるからです。

御社の完全水洗いの目的と基準が分かりませんので、
参考になるか分かりませんが、
「はりまや」では家庭用の二層式洗濯機で、
1点もしくは2点で洗っていました。
それは、お客様の要望と品のメンテナンス性、
生産性を考えそうしていました。

「社長より」

完全水洗いのコースは
国際基準の洗濯表示
_2本の水洗いとして顧客にうたっています。
したがって作業手順は明確です。

問題になっている本質は
一度に洗い上がるではなく
一度に仕上げ場が処理できないです。
なんのためにどう行動するかがポイントです。

理想や標準を優先させるのか
自社の原則や価値観を選択するか?です。

コストの件は洗剤や加工剤の選択をし
コストダウンをすればいいだけです。

水洗い商品の仕上げ工程に入れる時の
ズボンからあるいは上着から等の
優先順位を決めれば問題解決です。

ポイントは水洗いをしたスーツ10点を一度に処理できない。
→分散して処理
どのようにしたら分散して仕上げ工程に入れるか?
が課題

分けて洗うも一考ですがコストがかかりすぎます。

水洗い商品なんで仕上げ工程までに
例えば30分間ほど待ちがあってもOKではと思います。
納期も充分もらっています。

_2本の洗いは認定基準をクリアした独自の洗い方です。
試験布テストで一定基準をクリアしています。
今の工程で、その時の洗剤、加工剤と機械設定で認可もらっています。

「馬道より」

洗浄方法については、偉い先生方や賢い方々が研究されています。
ですので、その方法で洗浄すれば綺麗になると思います。
また、洗浄コストも考えておられると思います。
ですので、その方法で洗浄すれば間違いなく
コストは最小限で綺麗になるでしょう。

でも、これは、《洗浄工程だけ》の
試験布に付けた汚れを洗浄する事を基準にした
考えだと思います。(憶測でわかりませんが)
それぞれの現場で預かった現物ではありませんし、
生産工程は条件に入っていないと思います。
僕の経験上、お客様の要望や生産工程まで考えて
加工方法(洗浄・仕上げ)を
精査した例を聞いた事は有りません。
(トヨタ式をされていた諸先輩方は除きます)
クリーニングは綺麗にする事が仕事ですが、それだけではありません。
乾燥して仕上げて包装して客単位にセットして
約束どおり間違いなくお客様に返さないといけません。
複数の工程がありますので品の流し方も考えながら
加工の工程も考えないといけないんです。
工場によって、預かった品の状態、お客様の要望、
仕事量や納期、サービスやトータルの品質、
人や機械など条件が違ってきます。
そこが製造業と違う加工業とサービス業を兼ねている
クリーニングのの難しい所です。
その条件にあった効率の良い流し方、
基準を満たした加工方法を探すのが付加価値を付ける事だと思います。
「今ある環境でより良い方法に改善する取り組み」が、トヨタ式だと理解しています。
普通クリーニングは加工技術(製造技術)を上げることは良く勉強されますが、
作業方法や生産方法(生産技術)についてはあまり勉強されていないと思います。
勉強されている生産性は、各工程の生産性だけで、
各工程がつながっていないんです。
だから、ボトルネックが発生し、リードタイムが長くなりコスト増を招いています。
製造技術と生産技術を上手く組み合わせないと、良い品はできないと思います。

「社長より」

当社の洗い方は
その偉い先生からご指導いただき導入しています。
ポイントはダメージ軽減の数値化で承認されています。

今回課題は、洗い方の変更ではなく
作業手順の見直しで対応を選択します。

完全水洗いの数量増えるなら洗い方を再考しますが
納期管理できれば当座必要ないと考えます。

「馬道より」

承知しました。

アドバイスできることは、
まとめて洗い終わった品を一度に仕上げを処理するには、
まとめて洗った品の数だけ、
仕上げ機械とスタッフの数を増やさないと出来ないのは明白です。
これは現実的ではありません。

作業の仕方で対応するには、
洗浄前に完全水洗いの品を選別し分け、
通常品とは別に管理(納期・客単位別)します。
通常品のタイミング(通常品の流れを乱さない)を計りながら洗浄します。
洗浄・乾燥後に納期別客単位になるようハンガーアップし
通常品とは別に決められた場所で管理(納期・客単位別)します。
仕上げ工程のタイミング(納期・店舗・マンション・外交・営業所)を見て
先に仕上げないと行けない品(納期順・客単位)から投入する。
種類はボトムからです。
前段取りと後段取りの時間が必要になります。
まとめると仕掛品が発生しムダ作業も発生し
コスト増になりますので、
ルールをしっかり決めて
ルールを守り
スムーズに流れるよう十分気をつけて下さい。

僕がアドバイスさせてもらっている事は、
主に作業の仕方、進め方です。
加工方法はそれぞれ会社によって考え方や基準があるので、
尊重するようにしています。
ただ、その加工が「加工そのもののムダ」で品質も下げコストを上げていると
僕が感じた場合はアドバイスさせてもらっています。
作業の仕方、進め方で言うと、何度も伝えていると思いますが、
一度にまとめない、混ぜない事です。
小さい単位で進めることです。
小さければ小さいほど良いです。
小さい単位でコストを掛けず綺麗に出来る方法を
考える必要があります。
そこの発想の転換をしないと、イノベーションは起こせないと思っています。
たくさんで綺麗は、時代に逆行し道理から外れていると
僕は考えています。
クリーニング業の殆どの方が、その発想の転換が出来ないので、
トヨタ式はクリーニング業に浸透しないと思っています。
他業種では広まっていますが・・・
ただ、この方法が自分には合わないという方もおられますので、
その場合は、独自の方法を考えられたら良いと思います。

①安心安全
②サービス品質と品そのものの品質
③納期
④料金とコスト
をバランス良く取り入れる事が重要だと思います。

自社(自分)の価値観から理想が生まれ、
その思いが強くなると理念と言う自社の目指す方向できると思います。
その理念をみんなで共有する為に、
基準や標準を作り、また見直して、
進むべき方向に行動するのが会社組織だと理解しています。
理念が弱いと基準がぶれ、行動もぶれます。

なんか、堅苦しいネ。
時代に合ってないか?
軽く、楽しく、
今が、本当に幸せならそれでいいやん、
考えなくても、誰かがなんとかしてくれるよ。

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