廃業した2代目クリーニング屋の奮闘記 ⑷
その頃の繁忙期は3月下旬から6月下旬まで3ケ月間ありました。
3月に入って暖かくなってくると気分が悪くなりソワソワしだします。気持ちが落ち着きません。
「いややなぁ~、また繁忙期が来るんか」
毎年これを繰り返していると、さすがにこんなんで良いんやろかと思ってしまいます。
好景気に乗っかって、事業をドンドン広げられて行くクリーニング店さんが周りに沢山ありましたが、僕はとてもそんな気持ちになれませんでした。
まとまった衣類を見ると気分が悪くなります。
体がキツイのはまだ若かったせいか休めば元に戻ります。一番キツイのは不明・紛失品の処理です。
最終的にはお金で解決するしか無いんですが、それで納得されないお客さんがおられます。お客さんの品に対する想いや、罵詈雑言を浴びせられると、もうクリーニングをやめたくなります。
「なんで、ここまで言われやなあかんのん?」
もちろん、こちらに原因があって、それを改善できないこちらが悪いんですが、もう立ち直れないぐらい落ち込んでしまいます。
好景気はいつまでも続かないと思ったので、景気が悪くなった時、「はりまや」はもうあかんようになるやろうと思いました。こんな仕事してたらあかんと思ったんです。お客さんに迷惑をかけるような仕事してたらあかんやん・・・
そうとは思っていてもどうしていいか分からず、溜まっている目の前の仕事を、ただただ、こなす日が続いていきました。
そういう状態が数年続くと仕事に対する「やり甲斐」や「意欲」も無くなり、自分の中に閉じこもり投げやりな態度や行動になって行きました。
その当時、色々アドバイスしてくれる資材屋さんがおられました。その方から僕の行動や態度、また考え方を聞いて見かねたのか、
「ずっと閉じこもって仕事してないで色んな勉強会やセミナーに行って勉強したらどうや」
と言うアドバイスをしてくれました。でも、当時の僕は
「忙しいのにそんなん行ってる暇ないわ!」
「時間が無いのに、どうやって行けっちゅうねん!」
と心の中で叫んでました。何度も言ってくれたんですが、周りの声に耳を傾ける余裕も気持ちも無くなっていました。
そういう、ウジウジしていた頃に、嫁さんに言われたんです。
「もう、お金が無い!」
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