生産性より生産効率を高めよう

《リードタイム短縮が効率を上げる》

本年も宜しくお願い申し上げます。

昨年もトヨタ生産方式の考えを取り入れて、
仕事を始められたクリーニング店さんがあったことを嬉しく思います。

今年も引き続き出来るだけ分かりやすく
トヨタ生産方式を紹介して行きたいと思います。

お客様の要求されている品数を、
良い品質で効率的に生産することがモノづくりの基本的な考え方だと思います。
その考えをクリーニングの現場に落とし込みたいと思っております。

工場作業だけでは無く、受付からお渡しまで
効率良く流れる仕組みにする事が利益を生み出す条件だと考えます。

その為には「生産性」がキーワードになると思いますが、
「生産性」とはどういう事か理解していないと、
誤った改善になりムダな投資と時間を使うことになり、
品質も落としてしまう事になります。

「生産性」と「生産効率」、似た言葉ですが、その考え方は異なります。
両方の意味を理解して使い分けをする必要があります。

「生産性」とは、生産点数を何人で何時間掛かって生産したかという点数になります。
つまり、少ない人数や短い時間でたくさん生産すれば、
生産性が高いということになります。

「生産効率」は、必要な生産点数に対して必要な労働力を、
実際に使った労働力で割ったものです。
無駄な労働力が少ないほど、生産効率が良いといえます。

つまり分かり安く言えば、
「生産性」は少ない人員、時間でたくさん生産する事です。
対して、「生産効率」は必要な点数を少ない労働力で生産する事です。
この違いを理解して下さい。

多くの方は「生産性」を重視し、「生産効率」は考えていないと思います。

その理由に生産効率には「必要数」と言う規準が有ります。
色んな場面で基準の無いのがクリーニングの特徴です。

これはクリーニングに置き換えれば、
「今日何点お客様にお返ししないといけないかという点数」です。
これは「仕上り日」では有りません。
仕上り日は品が仕上がる日で、お客様にお渡しする日ではありません。
お客様にお返しする点数が基準になり、
その点数にどれぐらいの労働力を使ったが作業効率になります。

それを把握出来ているクリーニング店さんは殆ど無いからです。
その規準が無ければ効率が上がったか下がったか比較することは出来ません。

ですので生産性を重視し、たくさん生産する事にとらわれすぎて
品質も落としてしまうと言う事になる可能性が有ります。

「生産性」は、単純に高ければ良いとは限りません。
部分の生産性を必要以上に上げた場合、
前後の工程のタイミングが合わず、仕掛品や在庫が増加します。

クリーニングに置き換えた場合、
機械の容量に合わせてたくさんで洗う、
同じ種類の品を集め、まとめて仕上げる、
トンネルで必要以上に流す、
店頭に品を溜めるという様な事です。

少ない数で洗うより多い数で洗う方が生産性が上がりコストが下がります。
同じ品をまとめて仕上げた方がたくさん仕上がります。
しかし、仕上げられる点数より洗った点数が多ければ、品が溜まります。
お客様に返さなければ品が溜まります。
それに伴なって、それらを管理(分ける、運ぶ、並べ替える、探すなど)する
労働力が増えます。
コストが発生することで、
トータルでみれば実際の原価が上がってしまうことになります。

工場内でアッセンブリ出来ない、
店頭に品が溜まるのが、その結果です。

短時間でたくさん洗っても仕上げても、
工程の前後や工程間に品が停滞していれば効率が悪くコストが発生しています。
品が溜まっている、溜めているのは付加価値を作っていません。
付加価値が付かなければ、すべてムダと言う事になります。

今、工場を見渡し、
品がスリックレールに掛かっていたり、
カゴの中に溜まっていたり、
作業台の上に並んでいれば、それはすべてムダと思って下さい。
それはお金ですので、それを無くせば、
そのお金が残ります。

先ずは、加工時間(洗う、仕上げる)などの
部分の生産性を上げるより

ムダ作業を無くしましょう。

考え方を変えるだけです。

費用は掛かりません。

品質は変わらず生産性が上がります。

ムダを無くし効率を上げるだけです。

ムダとはどういう事か十分理解してから、
加工(洗う仕上げる)のムダを無くす取り組みをした方が、
品質を落とさず生産性を上げる事ができると思います。

生産性の向上と生産効率を両立するには、
目先の生産点数や効率にとらわれず、
生産全体の稼働率や標準時間などを踏まえ、
総合的に判断・改善することが重要です。

その点においては、機械の選別も重要になってきます。
何が重要で、何が必要かを見きわめる目を養ってから
検討して貰いたいですが、
機械メーカーさんが進める機械は部分の生産性を重視していますので、
バランスを調整するのに苦労します。
また、品質や減産に対応できないので
慎重に選択しないと後で後悔する事になります。
僕たちが使っている機械は、増産、減産、品質、
これから益々増えるであろうウエットに対応できる機械を選択しています。
機械自体の単価は高いですが、
費用対効果を考えれば検討の余地は十分あると思います。

生産効率を上げることが全体の生産性を上げる事になります。

急がば回れですね。

リードタイムの短縮が生産効率を上げる。

〈次回につづく〉

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