廃業した2代目クリーニング屋の奮闘記 (41)
仕事を辞める前の3年間位は、一点流しをしながら僕が一人で工場をしていました。それが出来る環境が整ったからです。

一点づつ作業を進めると今のクリーニンの作業がどれだけムダな作業をしているか分かります。頭だけで考えても分からないので、自分で実際に体験して見れば分かると思いますが、めっちゃ楽になります。
まとめれば良いと言う高度成長期の考え方が迷信だったことが分かります。
効率求める事は品質の低下を招くと言う間違った考えも根付いています。基準が分からず手間暇をかければ品質が下がりコストを上げてしまいます。
効率よく基準に合わせる事が大事ですが、基準が分からず、定めず、あやふやなまま分業制で部分しか見えなくなっている事が原因です。

作業において一点流しが基本ですが、色んな条件(機械・レイアウト・点数・人数など)に応じて流し方は変わり、その工場に合った最善の流し方を見つける事が重要だと思います。

仕事を60歳で辞めると決めてからは、毎年一千万以上の減収が続いて行きます。今のコロナの減収どころではありません。一番痛かったのは税金ですね、売上を下げた翌年に利益をそのまま持っていかれるので嫌でした。それでもやっていけたのは、トヨタ式の考えのおかげです。

僕がトヨタ式を取り入れて思ったのは、
トヨタ式とは 「今ある環境で作業改善を繰り返し最大限の利益を出す取り組み」
と考えています。
普通は、利益を出すために売上を上げる(環境を変える)事を考えます。もちろんこれも大事です。でも、今ある売上(環境を変えない)で利益を出すことは出来ないか?を、考えるのがトヨタ式の考えだと思います。
だから、不況に強く景気の良い時はさらに強くなると思います。
そして、それらが出来る人財を育てる人材育成方法だと理解しています。

カンバン方式、平準化、ジャスト・イン・タイム、自働化などといろいろ言われていますが、それらはこの目的を達成するための手法の一つです。

売上を下げても一番大きかったのは、点数管理をし平準化できる事でした。売上が下がれば点数もこれだけ減ると計算できるので、それに合わせた準備ができ、それで利益が出るか出ないか分かることです。

コロナの影響を受けてる今と違う所は、今は全体で売上が下っていて販管費が増え、工場は時短で稼働して、利益が出ない状態になっていると思います。
売上も上げれない。

この利益が出ない状態でコロナ融資に手を付ければ、もう返す事は出来ないんじゃ無いかと思うのが普通じゃないでしょうか?

売上はすぐ戻るんですか?
それが出来るのは、値引に頼らず地道に時間を掛け、お客さんとの関係性を築いてきたクリーニング店さんだけじゃないでしょうか?

トヨタ式の考えで、今、置かれてる環境(売上)で利益が出る状態に変える取り組みをしないと、3∼4年先がとても心配です。
売上が下がる恐怖があるので、体制を変える決断はなかなか勇気がいると思いますが・・・

偉そうな事を言いましたが、
売上は上がったり下がったりするもんなんで
これからもクリーニングを続ける意欲があるなら
それに対応できるフレキシブルな現場を作る事を
できるだけ早く取り組んだ方が良いと思います、

と言う、売上を下げた人の意見でした。

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