「見える化」の目的

《見える化で現状分析》

1994年(平成6年)にトヨタ生産方式に出会いました。
阪神大震災の前年です。
もう、27年が経過しました。
その当時のクリーニングの現場と、
現在のクリーニングの現場を比較してみれば、
根本的には何も変わっていないように思います。
変わらない原因の一つが
現場の「見える化」が出来ていない事だと思います。

現場の「見える化」は「アンドン」という道具などを使い、
問題点を見えるようにして、
みんなの知恵を集めて現場を改善する事です。

現場が見えないと、
どこに手を打てばいいかが分からない、
現場が見えるようになっていれば、
みんなで知恵を出すことができます。

「見える化」について、
大野耐一さんは次のようにおっしゃっています。
「誰でも一見して判る作業場にせねばならない。
品質でいえば不良を表面化し、
量でいえば計画に対し、進んでいるのか、遅れているのか
見てすぐ判るようにしておくこと。
こうしておけば、時間もすぐ判り
皆が改善案を考えつく」

トヨタ方式の見える化は、
人に行動をおこさせ、
その行動によって何かを変えて
良くすることです。

クリーニング店さんの多くは、
起きた問題の原因を追求し
それを解決すると言う習慣がありません。

起きた問題に対処するだけで、
原因の追及をなされないと思います。
起きた問題を追求し改善する事は
大事な仕事の一つですが、
その事は仕事と考えず、
その日のクリーニングの仕事をこなせば
仕事は終わりと考えていると思います。

例え、10分でも20分でも
今日を振り返る時間を作れば
現場はドンドン良くなると思います。

「見える化」には6つの目的があります。
①予防管理
問題が発生する前に、それを予知して問題発生の防止や、
目標を確実に達成させるためにする予防的処置です。
②知恵の共有
個人のもつ知恵の多くは、頭の中で暗黙知となっています。
お互いの知恵を分かり合えるよう見える化し、
刺激し合うことによって、
1つの知恵が数十倍以上の価値を生み出します。
③組織をつくる
組織とは、共通の目的・方針のもと一致協力して、
知恵を共有し、連携して行動する集団です。
個の知恵を共有し連携した行動のできる
「組織」をつくる事です。
④さらなる成長
自分たちが成長しているのか客観的にみて、
様々な方法が有効か否か評価して、
無効なものはやめて有効なものに
置き換えることです。
⑤自律した職場
自律とは自ら考えて自ら行動するということです、
目的に向かって自分たちのやるべきことを明確にし、
行動を開始し、目的に対して自らの行動を確認して
調整していくことです。
⑥仕事の価値を高める
価値の高い仕事とは、
顧客の価値を高めることのできる仕事です。
価値を高めるためには、価値そのものが
何であるかがわからなければなりません。

現在、クリーニングのトヨタ生産方式に
取り組まれているクリーニング店さんは、
「見える化」に取り組むことが出来ますし、
すでに取り組んでおられる所もあります。

でも、殆どのクリーニング店さんは、
「見える化」に取り組める段階まで、
まだ、きていないのが現状だと思います。

「見える化」は良い悪いを判断するために行う手段です。
良い悪いを判断するためには、
判断する基準を決めないといけません。

その基準が無い、又は作れないのが
クリーニング店さんです。
基準が曖昧で、なんとなく作業をしているのが
殆どだと思います。

例えば、今日何点完成品にするのか?
何人で作業して
毎時、何点完成品にして
何時に終わる予定なのか?
予定を立てる事が出来なければ
予定に対しての進捗が分かりません。
生産性が上がったのか下がったのか
分かりません。
生産性が上がった原因、下がった原因が分かりません。
現場で何が起こっているか分かりません。
それで、品質の善し悪しの判断が
出来るのでしょうか?

 

また、世の中の流れで無包装にも取り組みたいが、
どうしたらよいか分からないので、
出来ないと聞きました。
包装の仕方一つも変えれない、
現場を理解していない、分からない状況で、
移り変わりの激しい世の中に
対応出来るのでしょうか?

その基準を決めるためには、
何が必要か考えて貰いたいです。
いつも言っている事なので、省略します。

皆さんが、いつも言っている品質や生産性は、
何を基準にして判断していますか?
その基準をいつも満たしていますか?
それを見える化し、共有していますか?
明確になっていなければ、
品質や生産性が良いか悪いか分からないです。
基準を具体的にして見えるようにしないと
成長はありません。

クリーニングの現場を知らない、
作業をしたことが無い方達は、
クリーニングの仕事を軽く見ていると思います。
売上が上がったからと言って、
簡単に利益が出るものではありません。

それでも、成り立ってきたのがクリーニング業です。

これからもそれが通用するのか、
とても不安に思っています。
儲かってきたかどうかは分かりませんが、
クリーニングはサービス業です。
将来の需要が不安定のこれからも、
サービスを充実する事で
クリーニング業が成り立ち、
若い方達が希望をもって
長く経営出来ることを願います。

僕がトヨタ式を伝える活動を始めた目的は、
クリーニングのトヨタ式の考え方を現場に導入し
クリーニングの現場を良くし
大変やけど楽しく、やりがいを感じながら
仕事をして欲しいからです。

それは、自分の体験から出てきた思いです。

 

 

 

 

 

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