人時生産性と労働生産性との違い

《人時生産性の向上は競争力を高め変化に強い》

人時生産性とは、従業員1人が1時間分の労働をした時の
生産性を数値化したものです。
簡単に言えば、1人が1時間で
どれだけ稼いだかという数値になります。
人時生産性は従業員1人が1時間当たりにどれだけの粗利益を
上げたかを表す指標です。
この値が高ければ高いほど、短時間でたくさんの品を
仕上げたり、高品質なサービスを提供できたり
するということを意味します。
ですので、人時生産性を向上させることは、
自社の競争力を高める上で非常に重要になります。

一方、労働生産性は、労働量に対して
どれだけ成果があるのかを表し、
総労働量に対する従業員1人当たりの成果量で計られます。
労働量や成果量が単位や基準により異なるので、
比較するにはまず条件を揃える必要があります。

それに対して、人時生産性は
従業員1人が最終的に1時間当たりにどれだけ稼いだかという
より正確な数値と言えます。
労働生産性は1人当たりどれだけ稼いだか、
という指標であるのに対して、
人時生産性は1人1時間当たりどれだけ稼いだか
という指標であるという違いがあります。
労働生産性に比べて、短時間にどれだけ稼げるかという
シビアな生産性が人時生産性です。

例えば、あるA店とB店を比較してみましょう。
どちらのお店も15人の従業員が働いているとして、
それぞれ次の条件で考えます。
A店では15人の従業員が20時間勤務して、
売上高が200万円、粗利益高が120万円
B店では15人の従業員が50時間勤務して、
売上高が300万円、粗利益高が200万円
とします。

単純に売上高と粗利益高のみを見れば、
B店の方が優位性があるように思えるかもしれません。
でも、人時生産性を計算してみると、
A店は「120万円÷300時間=4,000円」、
B店は「200万円÷750時間=約2,700円」となります。
A店の方がB店よりも人時生産性が高いので、
より効率的な仕事をしていて変化に対応でき
競争力の高いことが分かります。

目先の売上や粗利益等に惑わされないで、
自社の現状を知ることが重要です。

人時生産性を調べたり改善を進めるには、
根拠となる数値がそもそも正確でなければ、
色んな改善をしても改善が見られず、
それどころか根本的に間違った方向に進んでいた
といたということになりかねません。

まずは生産点数を正確にカウントできているか、
包装機などに頼ってしまって
現物でカウントできていない、
工場売上(生産売上)を計算出来るデーターが揃っていない、
総労働時間を正確詳細にカウントされているか、
といった人時生産性を正確に計算できるデーターが
揃える事ができるか確認しましょう。

正確にデーターを収集できる仕組みが整っていなければ、
人時生産性を向上させようとするよりも前に、
正確にデーターを把握できる仕組みや
勤怠管理を正確にする、明らかにする事から
手を付けていく方が良いでしょう。
人時生産性を正確な数値で算出したい場合には、
勤怠管理は正確に行うことが必要不可欠と言えます。
サービス残業をしていては正確な人時生産性は
計算できません。
そういう体質から改善しましょう。

工場でアッセンブリができないで
店舗でしているクリーニング店さんの人時生産性は
正確にデーターを取り計算すれば
一桁台(1~9点)になると思います。
これは、正確に計算できるデーターがないので、
あくまで僕の経験上の感です。
現実的に見れば二桁台(10点以上)は無理です。
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人時生産性を向上させるためのポイント

※人員を適材適所に配置する

人には得手不得手がありますので、
不得手な作業に取り組んでいて、
成果が上げられないというケースがあります。
スタッフ1人ひとりの特性を把握して
その人が持つ能力を最大に発揮できる環境に
変えたり作る事は重要だと思います。
それぞれのポジションにふさわしい人材を的確に配置すれば、
スムーズに作業が進み粗利益高の増加も期待できます。

※業務を効率化させ労働時間を短縮する

業務の中にムリ・ムダ・ムラがないかを今一度見直すことで、
業務が効率化され人時生産性の向上につながります。

※効果的に人件費の削減を図る

安易に人件費を削減してしまうケースがありますので、
注意が必要です。
スタッフの特性を把握しないまま人件費の削減を行うと、
優秀なスタッフまで削減してしまう可能性があるので
注意が必要です。
人件費や労働時間の削減は、
人事評価制度や賃金制度の見直しなど、
総合的にみて判断をした方が良いと思います。
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仕事に対する意識が長時間労働の考え方から、
効率的な働き方にシフトしています。
日本企業も、人時生産性の向上に意識を向け取り組んでいます。
時代の変化に遅れないよう、
クリーニング業も人時生産性向上への
取り組みをはじめましょう。

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