単能工と多能工

《専門分業と多工程持ち作業のメリット、デメリット》

専門分業「単能工」のメリットは、習得する技術が少ないので、短時間で一人立ちでき、

教育期間を短縮出来るので短期間雇用に向いていると思います。

また、同じ単純作業の繰り返しになるので、その工程の生産性を上げることができます。

個人店で経営者が一人で作業をしていて、忙しい時だけ時間を決めて、

手伝いでズボンやワイシャツなどを仕上げて貰うと言うのも有りですね。

二人で作業するので、一人でするより時間は掛かりませんが、

全体の流れで考えれば時間は掛かります。

前段取りと後の整理というムダ作業が発生しますので、

2倍の生産性になりません。

それは経営者がしんどい目するだけで、

その人件費は掛かっていませんので有りだと思います。

 

デメリットは、工程分の人員を配置しないといけないことです。

4工程有れば4人、5工程有れば5人、

仕事量が少なくなっても工程分の人員を確保しないと作業は完了しません。

仕事量が増えることには対応しやすいですが、

仕事量が減ることには対応しにくいです。

また、一つの工程の人員が欠ければ作業が完了しませんので、

予備の人員を用意しなければなりません。

急な欠員があればたちまち困ります。

単能工は一つの工程しか受け持っていませんので、

自分のまかされた工程だけをこなせば良いという事になり、

前後の工程には無関心になってしまいます。

品や作業の流れはよどみ、壁ができ効率が悪くなります。

仕掛品が増え品の滞留時間が長くなりコストも上がります。

僕がトヨタ式を始めた頃、

仕掛品は「お金と思へ」と言われました。

「お金と思ったら、工場にいっぱいお金が落ちてるで」

「それを拾い集めたらな、手元にお金がいっぱい溜まるんやで」

と、教えて頂きました。

その通りしたら、お金が溜まりました。

見えないお金を落としていたんです。

 

多工程持ち「多能工」のデメリットは、

複数の工程の作業を習得しないといけないので、

教育に時間が掛かります。

また、今現在、分業単能工で作業をしていて、多能工に変えて行く場合、

スタッフからの反発が出てきます。

スタッフは仕事量を増やされ負担が増えると考えてしまいます。

仕事量は効率が良くなり減るんですが、

仕事の種類が増えるので負担が増えると考えてしまいます。

新しい事を覚えないといけないので、その気持ちは分かります。

でも、仕事は現状維持は後退している事と同じで、

新しい取り組みをする事が普通です。

そういう習慣が今まで無かった自社に問題があったと考えるべきでしょう。

 

多能工の一番のメリットは、スタッフに責任感とやりがいが生まれることです。

どこまで多能工にするかによって変わってきますが、

工場入荷から出荷まで、全員が出来る様になれば、僕は必要無くなりました。

シフトもスタッフたちで話し合って決めてくれるし、

急な欠勤があってもスタッフたちで対応してくれます。

それは、全ての仕事内容を把握していて自分がどういう役割をしているか、

分かっているからだと思います。

新しく入ってきたスタッフは、多能工が普通なので反発しません。

また、同じ位置で単純作業の繰り返しは、体が痛くなり時間も長く感じますが、

適度な動きで複数の作業をすると、体にも良いし時間も短く感じます。

もちろん、大前提で納期管理で量の平準化が出来ていて、

標準化も作っていなければなりません。

作業面で言うと、

環境(レイアウト)が整っていると、品の種類優先から、

客単位優先の作業を進める事が出来ます。

結果、アッセンブリがしやすくやります。

小ロットで工程順に作業を進める事が出来るので仕掛品が少なくなります。

結果、作業の流れ品の流れができ、リードタイムが短くなりコストが下がります。

洗いから仕上げまで担当することで全体の品質が平均的に上がります。

応受援ができ、チームプレーが生まれ、人時生産性が上がります。

作業量の急な増減に、コストを掛けずに対応できます。

店舗からの問い合わせにスムーズに対応できます。

など、スタッフが工場を把握しているので、

資材備品の管理もしやすくなります。

 

《T社 2点ロット多能工》

【選別】

【前処理】

【ドライ】

 【脱液】

【ウエット】

【ハンガーアップ】

【乾燥】

【人体】

【プレス】

【アッセンブリ】

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クリーニングはたくさんの品の量を取り扱いますので、

それをまとめようとすると、力仕事になってしまい作業によっては、

出来る出来ないが発生します。

小ロット多能工になれば、女性の違和感は削減できるんじゃ無いでしょうか。

 

「単能工」と「多能工」にはメリットとデメリットがありますので、

自社に上手く取り入れ、働き改革を進め、

生産性と品質が両立できる仕組みを考えて頂ければと思います。

 

売上の増減で、会社の業績に影響が出にくい作業方法をアドバイスしています。

 

 

 

 

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