廃業した2代目クリーニング屋の奮闘記 ⒆

嫁が店舗の受付をしてくれるようになり激的に変わっていきました。

仕事、家事、子育てと多能工で寝る暇も惜しんで頑張ってくれました。嫁にも危機感があったんやと思います。父親と何度も交渉して少しは給料も上がっていましたが、苦しい状況は変わりません。自分が働く事で少しは楽になると考えたんでしょう。でも後で分かったんですが、自分がもらった給料は全て積み立てていたみたいです。

嫁はクリーニングの仕事をした事はありません。
もちろん、トヨタ式の「ト」の字も知りません。ただ、お客さんにお渡し日を決めてもらうと言う事が、僕の話しを聞いていて、はりまやにとって、とても重要だと言うことは直に理解してくれました。
それと不明、紛失が多くそれを無くしたいという僕の気持ち以上に強い気持ちを持ってくれました。
「それってどうなん!それでよう商売してるね!お客さんに迷惑かけたらダメでしょ!」
て、商売もしたことないのにブチ切れていました。
嫁は洋服を凄く大切にする人でした。古い服でも大切に保管しています。だから、余計にムカついたのかも知れません。

夫婦の合言葉は
「お客さんに迷惑かけたらアカン」
になっていました。

とにかく、クリーニングの仕事を知らない、受付もしたことが無い、ほとんど面識のない年配のスタッフ達の中に飛び込んで見よう見まねで仕事を覚え、ドンドン作業の仕方を変えていくんですから、無鉄砲というか肝が据わっているというか、たいした人です。
まぁ、そんなんなんでスタッフとの衝突はしょっちゅうです。
自分一人でもやりきる覚悟が出来ていたんやと思います。

そのおかげで、工場に入ってくる品は納期が決まり、客単位でハンガーに吊って入ってくるので助かりました。そうなると工場では先に返す品から4点づつ洗って行けば容易に客単位セットまで出来、そのまま、今いる分だけ店舗に送り返すという流れが出来てきました。
約束日に全品お返し出来るので、お客さんの回転率も良くなり、店舗の品の在庫もだんだん減っていき、最終的には以前の半分以下にまでなりました。整理整頓もさらに進んで良い方向に進んでいきます。

言葉で言えば数行で済みますが、ここまでなるには試行錯誤を繰り返し、悩みながらすこしづつ積み上げていきました。

この後、受付マニュアルを作る事になりますが、このマニュアルには嫁の苦労したエッセンスが一杯詰まっています。
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