廃業した2代目クリーニング屋の奮闘記 ⑶
工場で作業をする日は、9時までにはみんな出勤して来るのでそれまでに仕事が出来る様に段取りしときます。
7時にはボイラーのスイッチを入れます。
前日におおまかに仕分けていた品を細かく分けていきます。最初の1ワッシャーの前処理はそこそこにしてドライ機に投入、ウェットも仕分けして水洗機に投入、縮みそうな品はその頃はまだ天干ししてました。当然、仕上がり日はずれていきます。
工場の屋上で干しますが、ロープに挟むときに指の皮が剥けて痛かったです。真冬の風がきつい日はロープがカチカチで挟むのが大変でした。
ドライ機が止まれば次の品をドンドン洗って行きます。
仕上げが追いつかないので、ドライ機の前のカゴに洗い終わった品がドンドン積み上がっていきます。先に洗った品と後で洗った品が混じり合います。後で洗った品が先に仕上り、先に洗った品がいつまでたっても仕上がってきません。
そんなこと関係なく預かった品はドンドン洗っていきます。洗っておけば何とかなるという感じでドンドン洗います。洗い終われば仕上げを手伝ったり包装をします。
作業場のあちこちに、品が置いてあり、天井にも品が一杯掛かっています。
人が移動する度に品を移動させ、あっちに置きなおしたり、こっちに引き寄せたり、床に落としたり、かかっている品をくぐりぬけ、カゴや台に体がぶつけながら移動します。
パートさんは5時頃には帰り、伯父さん職人さんもそこそこで切り上げて帰ります。後は父、母、僕の仕事になります。11時頃には父、母も切り上げその後は、僕が明日配達する準備を始めます。
今日仕上がったタタミの品を床一杯に広げ、カルタ取りをして配達順に並べます。全部仕分ければ配達順にカゴに詰めていきます。ハンガーに吊った品を配達順に並べ替えます。
この時点で預かった品が揃っているかどうかは分かりません。取り敢えず仕上がった品を届けるだけです。そんな事チェックしている時間はありません。この時点で2~3時頃になってます。
それでもお客さんから
「あの服まだ出来てないけどいつ出来る?」
と言われた品は探さ無いといけないので、工場の隅から隅まで探します。
見つかれば仕事は終わりますが、見つからなければ仕事が終わりません。
何度も同じ所を探します。さっき探したところをまた探します。何回も同じ所を探すんです。いくら探しても出てきません。深夜一人で品をさがしていたらメッチャ心境が悪くなるんです。
明日お客さんになんて説明しようか考えながら探しています。情けなくて涙が出てきそうです。
明日、お客さんに言う、言い訳を考えついたら探すのをやめて帰ります。
もう、周りが明るくなってます。

皆さんにはそういう経験はありませんか?

売上が下がり仕事に余裕があるんで、今頃は無いですかね?
今の仕事の仕方では、売上が上がり仕事量が増えていけば、僕と同じ経験をすることになると思います。
そう言う事にも負けず事業を継続していくのが、二代目経営者となる為に必要な条件じゃないかと思います。
僕の父がたまたまクリーニング店をしていて、僕が長男だったので既定路線で継いだけれども、経営者ではなかった、なれなかった。
僕は、そう思っています。
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